静寂

心に浸みる優れもの 今読んでも新しい方丈記

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写真提供 ナカトミ ツヨシ
最近いろいろな部分で、世の中の底が抜けた様な物事が現実のものとして目の前に現れ、人々の生活に影を落としています。禍として、記憶にはっきりと覚えている出来事では、鮮烈だったのが、26年以上前になる阪神大震災、そして3.11といわれる東日本大震災とそれによるフクシマ原発メルトダウン事故、そして2020年初頭からの新型コロナウイルスによるコロナ禍です。とりわけ、3.11と今回のコロナ禍は、元は確かに自然がもたらした驚異といったことに端緒があるのかもしれません。しかし、3.11でいえばフクシマ原子力発電所のメルトダウン事故と元々の原発を取り巻く要因が原子力村を取り巻く多くの勢力による人災であった様に、新型コロナウイルスに対する菅政権の対応のまずさは、前のブログでもニュージーランドなどとの対比で述べていますけれど一国を預かるリーダーの資質の無さに国民が振り回されている人災という事が言えます。この人災は今もまだ燃え盛り続いている状況です。

そういった中で、政治リーダーの無能さを憂いてもそれはある意味そのレベルのリーダーしか擁立する事の出来ない国民のレベルでもある事を認めた上で物事を考えなければなりません。 私が暮らす昨日の横浜市長選挙でも市民に対してより具体的な目標を提示してそれを確実に実行すれば横浜の閉塞感がかなり緩和されるだろう可能性のあった、田中康夫氏は残念ながら4位の成績で敗退してしまいました。なかなか世の中というものは自分の思った通りにはいかないものです。それを思って一喜一憂していてもしょうがないとある程度諦めることも肝心ですし、心の健康にもしょうがないという心持を持っておくことは大切な心掛けだと思います。

その様な下界の喧騒とは別に最近いろいろと古典をYouTubeなどで聴いております。その中でも取り分け古典の日本三大随筆といわれる、枕草子、方丈記、徒然草を就寝前などに聴いておりました。大体聴き始めてもしばらくすると寝落ちしてしまいます。そこで、中でも方丈記は今の世の中に当てはめてもなるほどその通りだと感じる部分が多くあり、幾つかの語り手の違うものを聴いたりしていました。

ご存知の方も多くおいでになると思いますが、書き出しの文章からすっと引き込まれていくのです。全体的には全てを通して世の中の無常ということを表現しているのだと思います。その無常感が川の流れから始まり、朝顔などの植物、そして人の住居、天変地異、大火災、疫病、生死等2011年の東日本震災後に日本に起きたありとあらゆることを800年以上も前に世の中、人の心理も含めて書き尽くしていた、そしてこの現代も無常感に包まれているということをわからせてくれる随筆なのです。

その無常感こそが決して空虚なものではなく、日々生きて生活していく心の糧になっているという事が不思議と解ってくるのです。福島伸一さんのいうところの生物と無生物の間、動的平衡と絶対矛盾的自己同一などと通じてくるものがあるのではないかと、これはあくまで直感ではありますがそう感じるのです。それから、最近やはり私が癒される存在の養老孟司さんがおっしゃることにもいろいろ通じるところがあるなあと思っていたところ、養老さんもYouTubeの何かの会で方丈記を評価していらっしゃいました。その表現の仕方が、死についての話だったか、何を死と捉えるかはとても難しい、便宜的に心停止を死として医師は死亡宣告をするが、その後でも臓器は生きている、例えば腎臓なども死後生きているから移植ができるといわれます。

私が、幾つかの方丈記をYouTubeで聴いた中で一つ異色でとても面白いものがありました。それは、3人の男性が原文と現代語訳の朗読をして聴かせるのですが、映像もそうですが効果音で流れる雅楽といっていいのでしょうかその様な音と琵琶の音色がとても心地よいのです。

引用元:BER.COM / 琵琶絵巻 朗読楽 方丈記
アートにエールを!*1【解説】

 

方丈記は今でいうミニマリズムや断捨離に通じる部分もあります。そして、先端の分子化学というのでしょうかそれらに通じる部分を直感的に言い当てているのかもしれません。人間の生死というか死生観に大きく影響を及ぼすかもしれません。今読んでも、とても新しく、その新しさに私は感銘を覚えました。人はある意味変わっていくようで変わりがないものなんだと改めて思いました。どの朗読でも好きなものでいいと思いますが、できれば現代語訳がついているものを選ばれて一度お聴きいただくとその良さが多くの方に伝わるのではないかと思います。



*1 引用:”「いかに生くべきか」 鴨長明の生き方と息づかいが現代に蘇る。                        「約800年前の苦難な時代のルポライター鴨長明に、現代の苦難を学ぶ」 戦や天災が続く混乱の時代....。その無常観から記された方丈記を再構成し俳優の篠井英介、陰山泰、小川ゲン、三者三様の声色も楽器と捉え、雅楽と薩摩琵琶が重なるセッション。 BER.COM テレビ、映画、舞台と活躍中の篠井英介。映画、舞台、吹き替えやナレーションと広いフ ィールドで活動している小川ゲン。テレビ、舞台の出演はもとより構成演出も手がける陰山泰。雅楽は数多くの雅楽公演に参加しソリストとしても活躍、NHK始め数多くのメディアに楽曲提供もしている稲葉明徳。薩摩琵琶に文部大臣奨励賞NHK会長賞等受賞。 NHKドラマの文化・芸能考証・指導を勤め古典曲は勿論、様々なジャンルを重ね国内外で活躍している友吉鶴心。音響にはベルリン、東京を拠点とする実験的アートプラットフォームREITEN主幹のサウンドアーティストKosei Fukuda。映像編集にはYouTubeでも活躍中の小山雅斗。”

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